日本人の10人に1人はワキガで悩んでいると言われています。世界的に見れば2~3人がワキガといわれているので、日本の10人に1人という割合は極めて低い数字です。

 

しかしいくら割合が低くても、ワキガの人にとっては深刻な悩みに違いありません。

 

ワキガそのものは病気ではなく、単なる体質と捉えるのが一般的ですが、世間的には「悪魔」のような存在です。

 

しかも、「ワキガの人が近くにいると自分も移ってしまうのではないか?」「ワキガの人の洋服を借りてきた場合、自分がワキガになってしまう?」って、思われることもあります。

 

そこで、ワキガはうつるのか?ワキガは遺伝するのか?気になる部分を掘り下げてみたいと思います。

ワキガがうつるってホント?ウソ?

結論から先に言いますと、ワキガが他の人にうつったりすることは決してありません

 

ワキガは「体質」であって、「病気」ではありません。つまり、ワキガの匂い物質が他人の粘膜や肌に付着したからといって、ウイルスのように伝染したり、感染することはないのです。

 

ワキガのメカニズムは、脇の下にあるアポクリン腺から出る汗です。アポクリン腺から出る汗には、皮脂やたんぱく質、鉄やアンモニアなどの匂い成分がたくさん含まれています。

 

しかし、匂い成分がたくさん含まれているアポクリン腺から出る汗は「無臭」なのです。

 

「無臭なら匂わなくていいじゃん!」って、思いますが実は、匂いの原因をつくるのはすべての人の肌に存在する「常在菌」です。

 

この常在菌がアポクリン腺から出る汗を分解したときに、悪魔のようなワキガ臭が発生してしまうんです。

 

つまりワキガ臭は「アポクリン腺から出る汗+常在菌」によって発生するもので、それが他人にうつることはありません。

例外的にワキガがうつることもある!?

「ワキガは他人にうつることはありません!」と言いましたが、ワキガの人の服を借りて着た後で一時的に「ワキガに似たニオイ」がすることはあります。

 

それは、ワキガ体質の人の衣類に付着しているある特定の細菌が、「一時的」にもう一人の人の脇の下に住み着くからです。

 

先ほどもお伝えした通りワキガ臭の原因をつくるのが「常在菌」です。この常在菌はすべての人の肌に存在していますが、ワキガの人と、そうでない人の違いはこの常在菌の種類なのです。

 

ワキガでない人も汗をかいたときに「汗臭さ」があります。これは常在菌の一つである表皮ブドウ球菌が多いからです。

 

逆にワキガの人は表皮ブドウ球菌が少なく、ワキガ臭となるジフテロイド菌が特異的に多いのです。

 

つまり、ワキガ臭の正体は、アポクリン腺の分泌物の違いだけでなく、「細菌の違い」でもあったのです。

 

では、どのようにして他人にワキガがうつるのでしょうか?

 

たとえばワキガ体質Aさんの服をBさんが借りて着た場合に、Bさんの衣類や皮膚にもジフテロイド菌が「移動」する可能性があります。

 

その結果、ワキガ体質でないBさんの体からもワキガ臭の発生と同様なメカニズムの「再現」が起こる可能性があるのです。

一時的なもので心配はありません

こんな事を聞くと心配になる人もいるかと思います。しかし、この現象はあくまで「再現」であって永続的な出来事ではありません。

 

ワキガ臭の原因であるジフテロイド菌は、特定の脂肪酸が分泌されないと生きていけません

 

つまり、基本的にワキガ体質でないBさんには、この特定の脂肪酸の分泌がないのです。ですので、Bさんに永続的に棲みつくことができないんです。

 

ですから、再現された「ワキガに似た匂い」は、ほんの数時間から数十時間後には、きれいに消えてなくなります。

 

分かりやすく言うと、他人のタバコの匂いが髪に付いたり、香水の香りが服に残ったりするような「移り香」と全く同じなので、心配する必要はありません。

ワキガは遺伝するってホント?ウソ?

これも結論から先に言うと、ワキガは遺伝します。ワキガは病気ではなく「体質」ということは、「遺伝的要因」が深く関係しています。

 

ですから、あなたが仮にワキガ臭がするとしたら、それは親の遺伝形質(優性遺伝)を受け継いだということです。

 

優性遺伝を分かりやすくいうと、ワキガ体質のお父さんと、ワキガ体質ではないお母さんから生まれた子供は、お父さんのワキガ体質を受け継ぐ、ということです。

 

ワキガの遺伝率は、片方の親がワキガの場合、その子どもにワキガが遺伝する確率は50%、両親がワキガの場合には75~93%もの確率でワキガになります。

 

さらに両親のどちらもワキガ体質でなくても、祖父母にワキガの人がいた場合も確率は低いですが、ワキガが遺伝することがありまます。これを隔世遺伝(かくせいいでん)と言います。

ワキガでも心配することはありません

上記のようにワキガは遺伝することは確かです。しかし、あなたや子供がワキガであるなら治すことが可能です。

 

昔はワキガを完全に治す方法がなく、しかも日本人は、清潔志向が強いため「ワキガ=不潔」のイメージがありました。

 

そのため結婚などのときに、「ワキガ体質を理由に断られしまう」ということや、「ワキガ体質を気にして一生独身で通した」というような悲劇がいっぱいあったのも事実です。

 

ワキガも一種の遺伝病ですが、多くの遺伝病は有効な治療法がありません。しかし、ワキガならデオドラント剤やクリームを使って簡単に臭いを抑える方法から、手術で100%匂いを抑える方法まで、様々な対策法があります。

 

ですので、たとえ子供に自分のワキガ体質が遺伝してしまったとしても、親は責任を感じて悩む必要はありませんよ。解決策はいくらでもあるのですから。